恋を掏った女【1958年(昭和33年)/大映】

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1958年(昭和33年)公開の大映映画『恋を掏った女』。

主人公の新聞記者役に石井竜一、その同僚で恋人でもあるカメラマン役に叶順子、新聞記者に恋してしまうお嬢さん役に金田一敦子など。

二つの事件を追う、正義感に溢れる若き新聞記者。
大阪の財閥のお嬢さんを救い、好意を寄せられるのですが…。

事件と恋に揺れる若者たちを、明るく朗らかに描きます!

 

作品情報

恋を掏った女
【公開】1958年(昭和33年)6月22日
【時間】50分/モノクロ
【配給】大映
【原作】長谷川公之(ラジオ東京テレビ放送劇「特ダネをにがすな」より)
【監督】原田治夫
【出演】石井竜一/叶順子/金田一敦子/穂高のり子/見明凡太朗/此木透/藤山浩一/渡辺鉄彌/ジョー・オハラ/隅田一男/武江義雄/原田詃/津田駿二/酒井三郎/伊達正/小山内淳/杉山明/湊秀一/若林祥二/石上正二/伊藤直保/若松健/伊藤一臣/パトリシヤ エリス/竹里光子/響令子

あらすじ

伊吹(石井竜一)は若き新聞記者で、同僚のカメラマン・マリ(叶順子)とは恋人関係にある。
ある日出勤すると、大阪の星野財閥の令嬢・星野令子が家出をしたというニュースが入ったが、その令嬢の写真を確認したところ、伊吹が通勤電車で見かけた女性だった。
その日、伊吹とマリは、スリ被害に遭った外国人マダムの取材を終えたあと、偶然、交番に星野令子嬢(金田一敦子)がいるのを見つける。
お嬢さんにはスリの疑いがかけられていたようだが、伊吹は「この人はスリではない」と庇い、お嬢さんを救うのだが…。

 

 

ロケ地

毎日新聞東京本社

伊吹(石井竜一)やマリ(叶順子)が勤務する新聞社として登場する建物は、有楽町にあった毎日新聞東京本社。
開始から3分過ぎたあたりで、建物の外観が映ります。

 

日銀本店~呉服橋交差点付近

「散歩してくる」と言って喫茶店ベベを出て行ったお嬢さん(金田一敦子)をマスター(ジョー・オハラ)が追うシーン。
お嬢さんは追ってきたマスターを振り切ると、日銀本店を背にして一石橋を渡り、呉服橋交差点方面へ。
永代通りに出ると、日本交通呉服橋営業所の看板が見えますが、その奥には、東京ガスのビル、北海道拓殖銀行、白木屋などが見えます。
看板の手前にある建物は、安田信託の不動産部の建物と、キムラヤ。
お嬢さんはキムラヤの前を通って日本交通呉服橋営業所へと入っていった後、ふたたびキムラヤの前を通って、都電停留所(日本銀行前)へと逃げ、常磐橋でマスターにつかまります。

また、喫茶店でマリが「今頃令嬢はしぶしぶと大阪行きの飛行機の中よ」と言うシーンの直前で挿入される街中の映像は、一石橋から呉服橋交差点方面を映したもの。
安田信託銀行や日本相互銀行の建物が確認できます。

 

松坂屋銀座店

伊吹とお嬢さんが屋上で語り合うシーンは、松坂屋銀座店の屋上。
ふたりが座るベンチの後方には屋上遊園を見ることができます。
屋上からは、すぐ向かいの小松ストアーなども見えます。

 

東京国際空港(羽田空港)

ラスト、外国人マダムを見送る場所は羽田空港。

 

 

主題歌・挿入歌

挿入曲

  • 「ト調のメヌエット」ベートーヴェン
  • 「別れの曲」ショパン

 

楽曲使用シーン

  • 「ト調のメヌエット」
    喫茶店べべの店内BGM。
    ホテルのシーンのあと、喫茶店ベベでマリ(叶順子)とマスター(ジョー・オハラ)、マダム(穂高のり子)が3人で話しているところに、伊吹(石井竜一)がお嬢さん(金田一敦子)を連れてやってくるシーン。

  • 「別れの曲」
    喫茶店ベベの店内BGM。
    山口政吉(渡辺鉄弥)が喫茶店ベベにやってくるシーン。

 

 

なつかしの文学・漫画・雑誌

「社会心理学 社会行動の基礎理論」

文学ではないのですが、劇中にチラリと映り込んでいた本を紹介します。

冒頭、伊吹(石井竜一)の枕元に置かれている本のうちの一冊は、南博著「社会心理学 社会行動の基礎理論」。
光文社から出版されたもので、初版は1949年(昭和24年)12月15日に発行されています。
定価は380円。

もう一冊映っている本は、一部しか映っておらずハッキリと断言はできないのですが、おそらく「牛島青年心理学 日本の青年における自我意識と社会意識の研究」(著:牛島義友/光文社)ではないかと思われます。
こちらは1954年(昭和29年)2月20日に初版が発行されています。

 

キラリ☆出演者ピックアップ

ジョー・オハラ

戦前から多数の作品に出演されている名脇役、ジョー・オハラさん。
いろんな名義で映画出演されていますが、この時代はジョー・オハラ名義で出演していますね。
よく名前を見かけるので、気になる俳優さんのひとりです。

本作では、主役の伊吹(石井竜一)行きつけの喫茶店のマスターを演じていますが、脇役でも割と目立つ役です。
コミカルな演技が楽しく、尾行とはいえない怪しすぎ&しつこすぎる尾行のシーンは、なぜか笑ってしまいます。
こんな追っかけ方する奴いないでしょ(笑)

ジョー・オハラさん、いつも映画で見かけると「織田政雄と顔が似ているな」と思いながら見ています。
みなさんも、ジョー・オハラと織田政雄が似ているかどうか気にしながら見てみてください(笑)

 

 

【映画レビュー】泣かせますね、お嬢さん。

特ダネを追う若い新聞記者と、あるお嬢さんとのちょっぴり切ない恋を、明るく軽やかに描いた本作。
主役の新聞記者役に石井竜一、その恋人が叶順子、新聞記者に恋してしまうお嬢さんは金田一敦子。

脇役陣もみんな楽しい。
丸井太郎が石上正二名義で出演(ホテルのボーイ役)。
あとは、夏木章がノンクレジットで出演していますね。
交番の入口に立って野次馬整理をしているお巡りさんの役で、台詞はありません。

主人公の新聞記者・伊吹(石井竜一)は、二つの事件に関わることになります。
大阪の星野財閥の令嬢・星野令子の家出事件。
外国人マダムが被害に遭ったスリ事件。
外国人マダムを取材したあと、偶然、星野財閥のお嬢さん(金田一敦子)を発見した伊吹は、彼女を保護するのですが…。

終盤の意外な展開には、少し驚きました。

お嬢さんが伊吹のもとを離れて「大阪へ帰る」シーンは、なんだか泣けて泣けて仕方がない。
自分でもよくわからないけれど、涙が出てきた。
愛されることを知らなかったお嬢さんが見せたいじらしさに、ホロリときてしまいました。

なんて温かくて素敵な話なんでしょ。
まるで『素晴らしき哉、人生!』を観たときのような清々しい気分になりました(笑)
あたたかな優しさに包まれ、あとに残るのは爽快感。

なんだか、終盤だけ別の作品を見ているような気分にさせる急展開(笑)

この時代の大映作品の、終盤ちょっと泣かせるパターンのほっこり喜劇、大好きです。

 

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