土曜夫人【1948年(昭和23年)/大映】

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1948年(昭和23年)公開の大映映画『土曜夫人』。
原作は織田作之助の同名小説です。

出演は水戸光子・若原雅夫・河津清三郎など。
嫌な男の手から逃れるために家を飛び出した政治家の娘と、なぜか彼女を狙い撮りするカメラマン。
その運命の出会いの行く末は、果たして…。

作品情報

土曜夫人
【公開】1948年(昭和23年)1月6日
【時間】87分/モノクロ
【配給】大映
【原作】織田作之助(読売新聞連載)
【監督】田中重雄
【出演】水戸光子(松竹)/若原雅夫/河津清三郎/片山明彦/鈴木美智子/伊達里子(新東宝)/伊東光一/吉川公一郎/近松里子/上代勇吉/三島愛子/宮嶋健一/橘喜久子/若原初子
【特別出演】櫻井潔とその樂團/前衛社交舞踏家集團 他 フロリダ/メイフラワー/オアシスオヴギンザ/カサブランカ/新興/サンタフェ

 

あらすじ

政治家の娘・陽子(水戸光子)は、列車内で実業家・木文字章三(河津清三郎)が人を突き落とすのを目撃する。
…遡ること少し前。
木文字は陽子を自分のものにしようとしていたが、木文字のような男との結婚を望まない陽子は家を飛び出し、キャバレーのダンサーとなった。
そのキャバレーへやってきた木崎(若原雅夫)というカメラマンは、なぜか陽子ばかりを狙ってカメラを向けてくるのだったが…。

 

 

ロケ地

京都市立立誠小学校前

木文字(河津清三郎)が陽子(水戸光子)を車で送ろうと声を掛ける場所は、立誠小学校の前。
ふたりは学校前の高瀬川沿いを歩きながら話をします。

立誠小学校は1993年に閉校。
その校舎は現在、複合施設「立誠ガーデンヒューリック京都」になっています。

 

大雲院 祇園閣

京吉(片山明彦)とチマ子(鈴木美智子)が寝転がって会話する場所は、祇園閣の前。

 

下河原通り

五重塔を背にして水戸光子が歩くシーンは、おそらく下河原通りではないかと思います。

 

三年坂(産寧坂)

下河原通りを歩くシーンの後につづいて、水戸光子は三年坂の石段を下る。

 

 

主題歌・挿入歌

主題歌

☆「すべて忘れて」川路公惠
☆「まぼろしの妻」津村謙(※劇中での使用なし)

(☆印:OPにクレジットがある曲)

 

挿入歌

  • 「港が見える丘」平野愛子(※インストのみ)

 

楽曲使用シーン

  • 「港が見える丘」(インスト)
    キャバレーのバンドが演奏。

  • 「すべて忘れて」
    ・キャバレーのバンドが演奏。(インスト)
    ・陽子(水戸光子)と木崎(若原雅夫)が踊るシーンで、川路公恵が歌う。

 

MEMO

主題歌の二曲とも作詞は高橋掬太郎、作曲は飯田三郎。
津村謙の「まぼろしの妻」は劇中では使用されていないようです。

 

 

熱狂!歌唱シーン♪

迫りくる別れを前にして陽子(水戸光子)と木崎(若原雅夫)が踊るシーン、川路公恵がステージで主題歌「すべて忘れて」を歌います。
出演者のクレジットに川路公恵の名前はありませんが(主題歌のクレジットはあり)、本人が出てきて歌っています。
胸元がかなり大きく開いたドレス姿に、ドキッとしてしまいます。

しっとりとした大人のムード漂う楽曲。
水戸光子と若原雅夫、二人の美しい男女のダンスと重なり、なんとも素敵な空気漂うシーンです。
わたしは本作以外では川路公惠が歌っている映像を見たことがないのですが、川路公恵の歌唱映像ってなかなか貴重なのではないでしょうか。

 

キラリ☆出演者ピックアップ

橘喜久子

「仏壇お春」という通り名の闇の女を演じている橘喜久子。
登場シーンはわずかながら、凄まじい破壊力のようなものを感じる演技。
鑑賞を終えた後に一番印象に残っているのが、実はこの人だったりします(笑)
「仏壇お春」という名前も強烈ですが、キャラクターもなかなか強烈で、何ともいえない威圧感を放ちます。
台詞はちょっとしかないのに、大きな爪痕を残す仏壇お春。

映画版ではドスのきいた声で怒鳴り散らすだけの仏壇お春ですが、原作では彼女の悲哀あふれる人生についても少しばかり触れられていて、実はとても哀しい女なのです。

 

 

【映画レビュー】すべての偶然は、必然である。

原作は織田作之助の同名小説です。
原作が未完なので、最後は無理矢理まとめた感があり(笑)、一応はハッピーエンド風?な感じで終わるのですが…。
しかし、登場人物が何人も死んじゃってるし、それでハッピーな感じにもなれず、なんだかモヤモヤ感が残るこの微妙な終わり方は、ほかの映画にはなかなかないかもしれません(笑)

そのモヤモヤはさておき。

陽子(水戸光子)の口から紡がれる、美しい言葉の数々…。
「すれ違う偶然もあれば、立ち止まる偶然もありますわ」
「すれ違っただけで、その人の生涯を変えることだってありますわ」
木崎(若原雅夫)への思いをかなり婉曲的に表現した台詞ですが、なんと慎ましく美しい言葉なんでしょう。
この世界で起こることはすべては、きっと必然、偶然と思われることすら必然なのです。
立ち止まる偶然だけでなく、すれ違う偶然ですら必然的なものなのです。
どういう形であれ、ふたりは出会うべくして出会っているのだ…と思うのです。

陽子の木崎に対する態度が徐々に軟化して心がほどけていく感じ、見ているこちらもホロホロと心がほぐれてゆく。
ただ、原作には二人が愛し合うような描写はなく、この設定は完全に映画版のオリジナルなんですよね。
上記の水戸光子の台詞も原作にはありません。
原作では木崎はヒロポン打ってたりするので(笑)、映画版の木崎はかなりイイ男になっています。

京吉役の片山明彦、貴子役の伊達里子あたりは、原作のイメージとぴったりな印象です。

映画を見ただけだと、人物の相関関係がいまいちわからない部分があると思います。
わたしは原作も読みましたので、相関関係について分かりづらい部分について少し解説しておきますと、京吉(片山明彦)は田村に居候をしているので、田村のママの娘であるチマ子(鈴木美智子)とは顔を知っている関係なんですね。

映画版は原作とは大きく違っている部分が結構ありまして、列車内で起きた事件については、かなり大きく改変されています。
また、陽子と木崎が結ばれるような描写も原作には一切出てきません。
そもそも、原作では陽子はあくまで登場人物のひとりであり主人公というわけではないんですよね。
原作では登場人物ひとりひとりの様々なエピソードが展開され、「偶然」というものが非常に重要な要素になっていて、数々の偶然が登場人物たちを結びつけグルグルと回り続け、すべての登場人物が主人公になりうる…そんな作品なんですよね。
映画版では陽子と木崎を中心に据えたメロドラマとなっています。

映画版は、美しい水戸光子と若原雅夫、ふたりが織りなす愛のドキドキ感を味わえるので、これはこれで原作とは別の楽しみ方ができる面白い作品だと思います。

もし織田作之助が「土曜夫人」を完結させることができていたならば、一体どういう結末になっていたのだろう?と、気になるのでした。

土曜夫人
【著】織田作之助
 

 

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