月光仮面【1958年(昭和33年)/東映】

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1958年(昭和33年)公開の東映の特撮ヒーロー映画『月光仮面』。
本作は、二部作の第一部にあたります。

東映の映画版は、テレビ版の「月光仮面」とはキャストが異なります。
出演は、祝十郎役に大村文武、どくろ仮面に狙われる中山博士役に宇佐美淳也など。

中山博士が開発したHOジョー発爆弾をめぐって、機密情報が狙われ、博士たちの身にも危険がせまり…果たしてどうなる!?

 

作品情報

月光仮面(1958)
【公開】1958年(昭和33年)7月30日
【時間】51分/モノクロ
【配給】東映
【監督】小林恒夫
【原作】川内康範(「少年クラブ」連載 ラジオ東京テレビ放送劇)
【出演】大村文武/峰博子/小宮光江/宇佐美淳也/柳谷寛/若水ヤエ子/佐々木孝丸/永田靖/長谷部健/原泉/原国雄/須藤健/曽根秀介/沢彰謙/牧野狂介/南川直/山本麟一/藤井珠美/北峰有二/轟謙二/冨士山龍/江島讓/大筆兵部/田川恒夫/森弦太郎/伊吹新/小島謙太郎/樂団スウイング・ペェツ(小牧哲/小牧ユミ子/小牧ユリ子/小牧エミ子)

あらすじ

HOジョー発爆弾の実験に成功した中山博士(宇佐美淳也)だったが、機密情報が入った鞄をどくろ仮面に盗まれてしまう。
しかし、盗まれた鞄には機密情報の設計図は入っておらず、博士が肌身離さず身につけていたので無事だった。
設計図を奪えなかったどくろ仮面一味は、代わりに中山博士の娘・あや子(峰博子)を誘拐しようとするが、そこに月光仮面が現れる。
あや子の誘拐にも失敗したどくろ仮面一味は、今度は爆弾を奪おうとし、博士も誘拐する…。

 

 

ロケ地

東京国際空港(羽田空港)

アダラ・カーン(沢彰謙)の依頼でインドへ行くことになった祝十郎(大村文武)が、羽田空港からインドへと発ちます。
中山博士(宇佐美淳也)の鞄が盗まれる…という事件が発生し、空港に祝宛ての連絡が入りますが、すでに祝は国際線出発口へ…。
一瞬のすれ違いで、祝は事件の連絡を聞くことなく、インドへと発っていくのでした。

 

有明

中山博士の乗った車がどくろ仮面一味に襲われるも、警察が待ち構えていて、さらにバイクで駆けつけた五郎八(柳谷寛)が、どくろ仮面の手から鞄を奪っていく…。
このシーンの撮影場所は江東区有明です。

奥の方、対岸に見える大きなタンクなどが並ぶ巨大な施設は、東京ガス豊洲工場です。
こうしてみると、工場がいかに大きかったか、よくわかりますね。
ここで見える工場の風景は、有明側から見た風景。
なので、このシーンは、対岸の東京ガス豊洲工場をバックに有明で撮影されています。

 

飛鳥山公園~飛鳥山下跨線人道橋

汽車の屋根の上に鞄が落ちてしまうシーンの撮影場所は、王子駅と飛鳥山公園とを繋いでいる飛鳥山下跨線人道橋。

爆弾の入った鞄の奪い合いを繰り広げる月光仮面&どくろ仮面一味は、飛鳥山公園から階段をおりてきて、飛鳥山下跨線人道橋へ。
そして、跨線橋上での奪い合いの末に、鞄は汽車の上に落ちてしまいます。

階段や跨線橋は、今とほとんど変わりないですね。

 

三菱倉庫本社ビル

ユリ(小宮光江)たちが警察署から出てくるシーン。
入口には「警視庁 千代田警察署」と書かれていますが、この建物は、日本橋の三菱倉庫本社ビル。
当時の住所でいうと、中央区江戸橋一丁目。

通りを挟んですぐ隣、タイガー(長谷部健)とアダラ・カーンが乗った車のすぐ脇にある建物は、日本橋郵便局です。

詳細については、「美しい建築」の項をご覧ください。

 

神宮外苑

妹・ユリを消すよう指示されたタイガーが、妹を撃とうとするも撃てず…
モタモタしているタイガーがアダラ・カーンに刺されるシーンがあります。
このシーンは、神宮外苑での撮影。

祝たちを乗せた車は、日本青年館前を通り過ぎたところで銃撃されます。
ユリを撃てなかったタイガーがアダラ・カーンに刺された場所は、外苑橋の下。
同じ通り沿いに「ウイン・コーラ」の建物が見えますが、その斜め裏に見える大きな建物は、国立競技場です。

その後、逃げるアダラ・カーンを繁(原国雄)&木の実(藤井珠美)が追うシーンでは、ふたたび日本青年館前を通っています。
祝たちが車で通過した時とは別の角度から日本青年館の建物を見ることができます。
(繁&木の実が日本青年館前を通った後のシーンは、大泉撮影所だと思われます。)

 

東京都第五清掃工場

終盤、どくろ仮面一味の潜伏先の建物として登場するのが、東京都第五清掃工場(現在の練馬清掃工場)。
1階部分などを見るとちょっと廃墟っぽい感じも出ている良い雰囲気の建物ですが、本作の撮影時はまだ建物の完成前です。
1957年(昭和32年)4月1日に着工し、本作公開直後の1958年(昭和33年)8月1日に建物が完成しています。

 

 

主題歌・挿入歌

主題歌

☆「月光仮面は誰でしょう」近藤よし子/キング子鳩会
☆「月光仮面の歌」三船浩(※本作の劇中では使用なし)

(☆印:OPにクレジットがある曲)

 

挿入曲

  • 「乙女の祈り」バダジェフスカ
  • 「エリーゼのために」ベートーヴェン

 

楽曲使用シーン

  • 「月光仮面は誰でしょう」
    ・タイトルバックで流れる。
    ・ラスト、月光仮面がどくろ仮面一味を追うシーンで流れる。

  • 「乙女の祈り」
    ・月光仮面からあや子(峰博子)に届いたオルゴールの音楽。

  • 「エリーゼのために」
    ・レストラン「オリオン」の店内BGM。

 

MEMO

音楽は小川寛興。
主題歌はいずれも作詞:川内康範、作曲:小川寛興です。

レストランのステージで演奏している「樂団スウイング・ペェツ」のメンバーは、全員同じ苗字なので、きょうだいでしょうかね。
みんな小学生~中学生くらいの4人組のバンドです。

 

美しい建築

三菱倉庫本社ビル

ユリ(小宮光江)たちが警察署から出てくるシーンで登場する建物は、三菱倉庫本社ビル(江戸橋倉庫ビル)。

1930年(昭和5年)竣工。
設計は、三菱倉庫株式会社の建築係。
緩やかな曲線が美しく、建物全体を見渡すと、船のようなユニークな姿をしています。

本作では1階の入口部分が少しだけ映るのみで、建物の全景は映っていません。
警察署という設定で登場するので、建物の入口には「警視庁 千代田警察署」「少年相談所」という二つの看板が掲げられています。
すると、あら不思議。
本当に警察署っぽく見えるんですね(笑)

警察署という設定であることと、入口付近が少し映るだけなので、調査に少し時間がかかりましたが、すぐ隣の日本橋郵便局の建物の一部&向かい側のビルも映っていたおかげで、三菱倉庫本社ビルであると特定できました。

ちなみに、本作の続編である『月光仮面 絶海の死斗』にも、この建物が登場しています。

 

キラリ☆出演者ピックアップ

沢彰謙

インド人、アダラ・カーン役で登場する沢彰謙。
出てきた瞬間から胡散臭さ全開で怪しさ満点。
実は、どくろ仮面の一味なんですね。
もう出てきた瞬間から絶対そうだろう感満載ですけど(笑)

彫りが深く、目鼻立ちがハッキリとしたお顔立ちの役者さんなので、外国人の役をやっても全く違和感ないんですよね。
今回のアダラ・カーン役も、これ以上の適役がいるだろうかというくらい、ピッタリはまっています。
悪役が多い俳優さんですが、子どもにも容赦ない極悪っぷりも、悪役の本領発揮といったところです。

 

 

【映画レビュー】謎の丈夫さを誇る爆弾&危険なアクションの連続にドキドキ!!

劇場版『月光仮面』シリーズの第一作目。
映画版は、テレビ版とは出演者が異なります。
私は、映画版の大村文武の祝十郎、大好きですよ~。

本作は、二部作の第一部にあたります。

HOジョー発爆弾の実験に成功した中山博士(宇佐美淳也)でしたが、どくろ仮面に目をつけられ、機密情報である設計図を狙われ、博士たちの身にも危険が迫る。
頼りの探偵・祝十郎(大村文武)は、アダラ・カーン(沢彰謙)に騙されてインドへと発ってしまい…。

研究者たちの顔ぶれは、中山博士役の宇佐美淳也をはじめ、佐々木孝丸に永田靖といった素晴らしい人たちが出ているので、見応えがあります。

中山博士がHOジョー発爆弾を開発した目的は、宇宙開発と平和産業への寄与や、戦争抑止を期待してのことだったのですが、結果的に、どくろ仮面に狙われるという、かなり面倒なことに…。

月光仮面とどくろ仮面一味が爆弾を奪い合うシーン。
爆弾の入ったバッグをラグビーのようにパスしたり、車から放り投げたり、蹴っ飛ばしたり…。
かなり雑な扱いをしているけれど、これでいいのだろうか(笑)
爆弾くんが爆発せずに無事でいてくれたのが奇跡のように思える。

爆弾輸送時の危険性について、中山博士は
「多少の衝撃は大丈夫です。しかし、限界を超した場合は保証できませんよ」
と語っていたのですが、どうやら投げたり蹴ったりレベルの扱いごときでは限界には達しないらしい。

…などとツッコミをいれたくなるシーンもあるのですが、やっぱりワクワクしちゃうカッコよさがあるんですよねぇ、この時代のヒーローものは。

中山博士宅にやってきた五郎八(柳谷寛)たちの前に、どくろ仮面が現れるシーン。
横一列に並んだどくろ仮面一味が、ザッザッザッザッ…と、リズミカルな足どりで近づいてくるのが、音楽ともリンクして、めちゃカッチョイイ。

五郎八が颯爽と現れて、どくろ仮面が持っている鞄をバイクでかっさらっていくシーンなんかも、めっちゃくちゃ痺れる!!!

月光仮面がバイクを運転しながらシートの上に立ち上がり、どくろ仮面一味の車に飛び移る…というアクロバティックな芸を見せたり…!
どくろ仮面も、走行中の汽車の上に飛び乗ったり…!!
こういうシーンは、大人が見てもやっぱりワクワクしちゃいますね。
どくろ仮面が走行中の汽車の屋根の上を駆けるシーンは、懐かしのファミコンソフト「チャレンジャー」を彷彿とさせるものがありますよ。
そう、まさに「チャレンジャー」の実写版といっても過言ではない、そんな危険ことをやっちゃってるんですから、昔の映画って本当に凄いです。
子ども向け作品だからといって馬鹿にせずに、たくさんの人に見てほしいなぁと思うんですよねぇ。
この時代の特撮モノ、めちゃくちゃ面白いですよ。

子どもにも容赦ない火あぶり責めのシーンなどは、実にこの時代の東映の特撮ヒーローものらしいです。

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月光仮面 (1958)【DVD】
【監督】小林恒夫 【出演】大村文武/峰博子/小宮光江/宇佐美淳也 ほか
 

 

 

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